※以下は一例です。
桐生市での問題
2023年11月、群馬県桐生市で実施された生活保護の運用に関する調査がきっかけで、多数の違法行為が明るみに出ました。具体的には、支援が必要な人々に対し日額1000円しか支給されず、(しかもハローワークでの求職活動証明と引き換えに渡すという鬼畜っぷり)さらに担当職員が利用者の印鑑を無断で使用し、実際には受け取っていない支給を記録していた。印鑑も2千本近く保管されていたとか。また民間団体による厳しい金銭管理も実施されていたそうです。生活保護決定後も長期にわたり保護費を渡さないという酷い有様です。
利用者に対して侮辱的な発言をする職員の存在や申請をちゃんと受け付けない事例も報告されています。水際作戦も常態化しており却下率・取り下げ率が異常に高く更には辞退届を多用(例えば「施設入所」廃止など)して仕送りの強要。仕送り収入のカラ認定などなど。小規模の福祉事務所なのに警察官OBを配置して新規受給時の面談や家庭訪問も担当させていたそうです。(ちなみにココの市の人口は2025年時点で約97000人です)
桐生市元幹部の発言は自民党某議員の主張と近いです。(第三者委員会議事録より引用)
「生活保護費からの貯金に関して、自立支援のために貯金をさせたほうが
よい」
「身勝手な考えをする人もおり中にはケースワーカーから悪いところばか
りを指摘されて追い返されたと受け取った相談者がいたということを聞い
たことがある」
「警察OBの職員に関しても時に大きな声を出す者もいたものの、それまでの職務経歴を生かして対応してくれていた」
「ケースワークとしての自宅訪問をしっかりと行ったことで、不適切な申告をしても発見されるという情報が周囲に広がり、ある種の反社会的な者が桐生市で生活保護申請をすることが減っていた」
2025年3月28日に桐生市荒木市長が水際作戦の存在を認め、謝罪しました。
(申し訳ございませんで済むなら警察も裁判所もいらないと思うのは自分だけ?)
桐生市事件を踏まえ、保護費の不適切な取扱いや水際作戦などの事案の発生が、「国民の生活保護制度に対する信頼を大きく損ない、ひいては制度の根幹を揺るがすことにもつながりかねない問題」であるという認識を初めて示しました。新年度の国の監査の重点事項の第一項目に「要保護者に対する権利侵害の防止」を掲げるようになりました。
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兵庫県小野市での問題
小野市における生活保護問題は近年いわゆる「保護費でギャンブル禁止条例」の導入に伴い、さまざまな議論を呼んでいます。この条例には受給者が生活保護費をパチンコや競馬に使用することを禁止する内容が盛り込まれています。
正式には「福祉給付制度適正化条例」(生活保護の他児童扶養手当もこの条例の対象です)といい2013年に小野市が導入したこの条例の主なポイントは次の通りです。
通報制度: 市民が不正受給や浪費を見つけた場合、情報を提供できる仕組みが整えられています。
調査の実施: 不正が疑われる場合は警察官のOBが調査を行いますが、罰則はないため改善されない場合は最終的に支給停止の可能性があります。
条例の背景と市民の反応
この条例は、社会保障制度を市民全体が支えていることを周知させることを目的としています。市民福祉部の部長は「市民の意識を変えるための施策」としてこの条例の意義を強調していますが、市民の反応はさまざまです。
一部市民はこの取り組みを評価していますが、他方では「相互監視の制度化」として批判も多いです。弁護士会も抗議文を市宛に送っています。ある市民は「実際には見張って通報するほどの余裕はない」「そんな条例あったっけ?」「市長の売名行為」などと語ります。また某社労士先生も「こんな条例を作るほどの必要性を感じない」としています。
ちなみに小野市では、約120世帯が生活保護を受けており(ちなみに2025年時点での人口は約46000人です。)また交通の便もいいとは言えないようで車の免許なし単身者が暮らすのは厳しいと思われます。(まあ免許あったところで生活保護受給者は一部例外を除いてクルマの所有や運転が禁じられているのですが)
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神奈川県小田原市での問題
2007年にいわゆる「生活保護なめんな」ジャンパー事件が発生しました。きっかけとしては同年に生活保護受給が終了した元受給者が市職員を刃物で切りつける事件が起こり、(詳しい事情は個人情報なので公開されていません)その際に福祉事務所職員たちが自主的に威圧感を持とうと考えて、自費でジャンパーやシャツ・小物などのグッズを作成しました。
このジャンパーには「HOGO NAMENNA」や「SHAT」(生活保護悪撲滅チーム)の文字が記されており背後には不正受給者への強い非難が反映されていました。マークもあったのですが海外の某サッカーチームのモノをパクった疑惑もありその点も物議を催したようです。
当然ですが生活保護受給者への嫌悪感や偏見を助長する結果になり多数の市民や受給者から多くの批判を受ける結果となりました。小田原市には900件以上の苦情が寄せられ生活保護受給者の人権侵害として非難されました。またイメージの悪化により市役所への信頼が失われ福祉行政全体に対する疑念が高まりました。
批判を受け改善
発覚後、小田原市は以下のような改善措置を講じました。
生活保護行政のあり方を再考するための検討会が設立され専門家や受給者が意見を交わす場が設けられました。担当職員に対して人権意識を高めるための研修が行われ生活保護の制度や運用についての理解向上に努めています。市は生活保護制度が憲法により保障された権利であることを再確認し受給者に対する配慮を強化する方向で活動しています。
たとえば受給者向けに配布する「保護のしおり」の改訂や関連するホームページの内容改善などがあげられます。(分かりやすく受給者や受給予定者の方により配慮された内容になっています。また高校や大学などに進学予定の方がいる世帯向けに別パンフレットも作成されました)
当サイトとしても暴走自治体がこれ以上出ないことを切に願います。
おことわり
上記の記事はあくまでも執筆者個人の見解や感想であり当事者やそのご家族、地方自治体などを批判したり逆に宣伝したりするものではありません。またこの記事と状況が変わっている可能性もありますので最新の情報に関しましてはお手数ですがお客さまご自身でご確認をお願いします。