どんな病気?
英語の頭文字をとって「SAS」ともいいます。一晩(7時間)の睡眠中に10秒以上の無呼吸が30回以上起こります。勿論ですが放って置くと脳や気管に酸素が行き届かなくなり、突然死の可能性もあるそうです。
医学的な無呼吸の定義では、10秒以上の口と鼻での気流の停止です。この結果十分な睡眠がとれず、日中の眠気、集中力の低下、活力の喪失(そうしつ)などが起こります。交通事故や災害事故の原因との関連から、社会的に問題になっています。また心血管系の合併症(不整脈、心不全、高血圧、脳血管障害)や糖尿病が多くみられ、さまざまな問題を引き起こしてきます。
睡眠中に呼吸が止まった状態(いわゆる無呼吸)が断続的に繰り返される病気であり、その結果質の高い睡眠を十分とれず、日中に強い眠気等を招くことを特徴としており、居眠り運転による事故につながることが指摘されています。現在、日本における潜在患者は、約200万人という報告もあり交通機関の運転従事中にこうした症状が発生することに伴う事故を如何に未然に防止するかが大きな問題となっています。
2003年に新幹線の運転士がこの病気だったらしく停止位置を行き過ぎてしまうトラブルがありました。以来国土交通省は鉄道事業者はもとより全国の交通事業者に健康管理の徹底などの通達を出しています。この他にも某私鉄で停車駅なのに通過させてしまうトラブルも起きています。(現在では乗務員の健康診断の項目にこの検査が追加されています)
症状の現れ方
睡眠時の症状として、いびきをかく、無呼吸になる、寝相が悪いなどがあります。日中の覚醒(かくせい)時には頭痛、強い眠気、性格の変化などが認められます。いびきは、睡眠時無呼吸症候群を疑う重要な症状です。いびきが強く、いびきの後に呼吸が止まるようであれば、かなり疑いが濃いといえます。若いころに比べて体重増加が著しい場合にも注意が必要です。
肥満、アルコール摂取時、睡眠薬などの薬物の服用、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎(ふくびくうえん)などの鼻疾患の存在、咽頭扁桃部の炎症などが原因となりえますので、診察ではこれらを区別する必要があります。病状は種類が軽度・中度・重度と別れていて1時間辺りの無呼吸の回数により決まります。
原因をつきとめる方法
睡眠時の無呼吸が主な病状なので睡眠中の呼吸のようすのモニターが必須となります。睡眠中のさまざまな生理学的指標を測定するポリソムノグラフィーという検査機器によって検査が行われ、これにより睡眠時無呼吸症候群は、
(1)呼吸運動が停止するために無呼吸となる中枢型、(2)呼吸運動は持続しているが、上気道がふさがるために無呼吸となる閉塞(へいそく)型、(3)両者の混合型の3型に分類されます。
中枢型は呼吸中枢(延髄(えんずい))の障害により起こりますが、極めてまれな病態です。一般に問題になる場合のほとんどは、上気道がふさがる閉塞型です。小児ではアデノイド、成人では肥満が重要な原因です。日本人はあごが小さめであるため、必ずしも肥満者のみに限りません。いわゆる小顔の方もなりやすいとも言われています。
居眠りを・・・絶対しない=0点、ときどきする=1点、よくする=2点、いつもする=3点
1.座って読書しているとき
2.テレビを見ているとき
3.会議や劇場でじっと座っているとき
4.自分で運転はせずに1時間以上続けてクルマに乗っているとき
5.午後に横になって休息しているとき
6.座って誰かと話をしているとき
7.昼食後に飲酒せず静かに座っているとき
8.クルマを運転中に渋滞などで数分間止まった時
上記の設問の合計点数が6点以下=正常、7~10点=軽度、11~15点=中度、16点以上=重度
どうやって検査するの?
診察の結果睡眠時無呼吸症候群の疑いがあれば、アプノモニター(簡易呼吸・心拍監視モニター)などの簡易検査をして、そこで疑いありと判定されたら更にポリソムノグラフィー(PSG)という検査機器によって一泊の入院検査をします。
ポリソムノグラフィーでは睡眠中の脳波、眼電図、筋電図、口と鼻の気流、胸腹部の呼吸運動、心電図、酸素飽和度などを一晩中翌朝の起床時にわたってモニターします。無呼吸が一晩に30回以上か、1時間あたりの無呼吸の回数が5回以上の場合に診断が確定します。あるいは呼吸運動が低下し、かつ酸素飽和度が低下する時には、無呼吸と同等な病的意義があると考えられます。
ところで治るの?
閉塞型・中枢型共に根気よく治療すれば完治は難しいですが日常生活には支障が無い迄に回復します。それから睡眠時に一時的に顔が冷たくなるのは身体に酸素が回っていない可能性が高いと思われます。そのため睡眠時無呼吸症候群だけでなく心臓病や肺疾患等の病気等の重症な病気を併発している可能性が有りますので早目に専門医の診察を受けて下さい。
検査の結果中度・重度と診断されたらCPAP(シーハップと読むようです。睡眠時無呼吸症器具:送気マスク)治療が始まります。また、検査結果が軽度の場合はマウスピース治療または経過観察などになります。マウスピース治療は専門の歯科医に作成して貰います。肥満の方の場合は運動療法(エクササイズ)も併用するようです。重度でCPAPだけでは効果が足りないような場合は気道を広げる手術をする事になります。
この病気治療には一般に数年から数十年かかりますので完治は難しくて途中で諦めるかたもおられますが将来のご自分の為ですので絶対に諦めないで頑張っていただきたいと思います。
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