睡眠は大切
私たちの生活の中で睡眠が果たす役割は大きく、きちんと眠らなければ疲労を翌日に持ち越す、気持ちの整理ができないといった悪影響を及ぼし、仕事や学業の効率や成果にも関係してきます。私はある理由から眠れない日々が1、2年続きました。寝たいのに眠ることができない、辛いことから眠りに逃げたいといった時に眠れないことに一種の恐怖を覚えました。
ある理由というのはパニック障害という精神疾患です。現在は病気との付き合い方を熟知し、薬で制御することができているので睡眠はもちろん、私生活において不自由をすることはそんなに多くはありません。しかし異変を感じて医師に診断されてからの数年は全くと言っていいほど順応できず、家の中にいても発作や不安といったものに付きまとわれて、睡眠に関する自由も奪われていました。
呼吸が苦しくて寝られない
どうしてパニック障害が睡眠に影響していたのかを具体的に述べますと、呼吸に関することと心拍数の上昇の二点が主な原因と言えます。睡眠を説明するうえで欠かせない要素の一つとして自律神経に関することがあります。自律神経とは交感神経と副交感神経から成立しており、絶妙なバランスが保たれるように無意識のうちにコントロールされるものですが、何らかの原因で機能せずにどちらかが優位な状況が続くと不眠の原因となります。
私の場合はパニック障害による予期不安と四六時中戦っており、それが多大なストレスとなって交感神経が優位な状態がずっと続いていました。つまり、常に緊張した状態が続いているということです。そのためリラックスしている時に働く筈の副交感神経が機能せず、就寝時間になってもなかなか入眠できない、もしくは全く眠れないという日々が続いていました。
これがなぜ呼吸に関連するのかというと、腹式呼吸のような深い呼吸は副交感神経の働きを高める作用があり、交感神経が優位になっているときはこのようにして自律神経を整えることができます。しかし当時の私はパニックの発作や予期不安によって呼吸が浅くなっており、逆に交感神経を活発にしてしまっていたからです。腹式呼吸はパニックの発作が起きた時にも用いられる対処法ですが、発作が起きているときは息が苦しく、息の仕方がわからなくなることがあります。こういった時に深呼吸のようなゆっくりした呼吸法に切り替えると余計に苦しくなることがあり、苦手にしていたこともあって睡眠時に呼吸を整えることが難しかったです。
心臓ドキドキで寝られない
もう一つの心拍数の上昇というのは、発作が起きているときやその前触れに必ず動悸がするので、心拍数が運動をした後のように上昇してしまい、とてもこれから眠るといった状態ではなくなってしまうということです。寝るときは部屋を完全に暗くしてなるべく雑音も遮断します。そんな空間にひらすら自分の鼓動の音が響き続け、それがいつになっても収まらないのですから怖くなって布団から飛び出し、すかさず部屋の照明やテレビをつけていました。
私は元々真っ暗で静まり返った部屋でなければ眠れない人間なので、照明やテレビがついている間は眠ることができません。動悸も収まってようやく眠れそうだと思った時には既に早朝だったということは何度もありました。
寝たいとき寝られないと本当につらい
平日は仕事もありますし、体調が悪い時は眠りに逃げたいので決まった時間や寝たいと思った時に眠れないのは本当に辛いことでした。病気になる前の睡眠時間は平均して7時間は確保できていた筈ですが、この時期は3時間程度まで減少し、殆ど寝ずに仕事に行かなければならない日もあって余計に体調を崩すようになり、少し休養したかったこともあって仕事を辞めることになりました。
寝具が体に合わない、近所の騒音が眠りの妨げになるといったことが原因の場合は、悩んでいる方には失礼ですが対処の仕方はたくさんあると思います。しかし眠れない、寝付けないということが病気に由来する場合はその原因を治さなければならないので、非常に根の深い問題と言えます。頼れるのは処方されている薬のみで、それを服用したとしても一時的に楽になれるだけで根本的な原因を取り除くことはできません。
また、薬が作用しているうちに寝てしまおうと思えば思うほど焦ってしまい、逆に目が覚めてしまうということもありました。冒頭でも述べましたが現在も病気とは付き合っているものの、症状が重かった最初の数年とは違ってきちんと眠ることができています。眠ることができれば体調面にも改善の兆しがあり、再び仕事を始めることもできました。病気になる前は当たり前のように起きて寝てと繰り返していましたが、生まれて初めて眠ることの大切さを実感しました。
- 上記の記事はあくまでも個人の感想であり効果や効能を示すものではありません。
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